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「流玲さん……。思い出したんだね……? 思い出しちゃったんだね……前の世界で起きたことを……?」
出来れば訊きたくはなかったが、この状況下では尋ねないわけにはいかない質問だった。キザムは流玲の反応をじっと待った。
「──うん……全部……思い出したよ……。何が起こって……どんな結果になったか……。全部……そう、あの大惨事によってもたらされた悲劇を……全部思い出したの……」
とつとつと語る流玲だったが、思い出した内容に畏怖を感じているのか、身体をぶるぶると震わせていた。
「でも、なんでわたしは今……ここにいるの……? だって、あのときわたしは……わたしは……キザムくんのことを殺してしまいそうになって……でも、キザムくんはわたしの暴走を止める為に……わたしと一緒に……わたしと一緒に……屋上から飛び降りたはずじゃ……」
答えを求めるように、悲痛な眼差しをキザムに向けてくる流玲。
「いいかい、流玲さん。これからぼくが話すことを驚かないで聞いて欲しいんだけど──」
解答を求める流玲にそう前置きをしたうえで、キザムは自らに起こった現象の説明を始めた。
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