終章 エンド・オブ・ザ・デッド ~死者の結末~

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「実はこの世界はタイムループをしていて、今までに何度も同じ時間軸を繰り返しているんだ。ぼくらは前の世界の時間軸からタイムループをして、そして、この世界に舞い戻ってきたんだよ」 「タイム……ループ……?」 当然の如く、流玲は理解出来ないという風な表情を浮かべる。 「そうだよ、タイムループ──。おそらく、ぼくの死をきっかけにして、タイムループは起きているんだと思う。だから、ぼくが流玲さんを伴って屋上から身を投げて死んだとき、世界はタイムループしたんだ」 「そうだったの……? それじゃ、わたしのせいでキザムくんは死んだようなものじゃないの……?」 「いや、あのときはぼくが自分の意思でそう決めたんだ。だから、流玲さんのせいなんかじゃないから」 「でも、わたしがゾンビ化しなければ、屋上から飛び降りることもなかったのに……。やっぱり、わたしがすべて悪かったんだね……」 流玲の両目から透明な雫がつーっと零れ落ちてきた。これを見るのが悲しくて、流玲には記憶を取り戻して欲しくなかったのである。 「流玲さん、それは違うよ! 違うんだ! ぼくは今回のタイムループの最中に、あることに気が付いたんだ。流玲さん、あの大惨事の原因は、ぼくにもあったんだよ! だから流玲さんひとりが責任を感じることはないんだよ!」 流玲の涙を止める為ならば、いくらでも言葉は出てくる。     
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