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「えっ、キザムくんにも原因が……? だってゾンビ化の原因は、わたしが受けた遺伝子治療の副作用のせいなんじゃ……」
「それはたしかに一因だったかもしれないけど、もうひとつ欠かすことの出来ない要因があったんだ。それがぼくの存在だったんだよ。だって、ぼくだって遺伝子治療を受けているからね。ぼくと流玲さんの二人がいて、初めてゾンビ化する状況が生まれるんだ。そのことに気が付いたんだよ!」
「それってどういうことなの? だって、あの日わたしがゾンビ化したとき、キザムくんは近くにいなかったし……。わたしひとりのときに、突然、猛烈な飢餓感に突き動かされて、それで、それで……わたしは近くにいた知らない生徒のことを襲ってしまって……」
再び自らの身に起きた悪夢を思い出してしまったのか、流玲が顔を歪ませる。
「たしかに流玲さんの言う通り、ゾンビカタストロフィーはそこから校内に広まっていったんだと思うよ。でも、その前にぼくと流玲さんが接触したことが、そもそもの原因だったんだよ」
流玲がこれ以上悪夢に苦しまないように、すぐさまキザムは自分の考えを口に出して説明した。
「接触……? わたしとキザムくんの接触って……あっ、それってもしかして──」
流玲も《接触》の意味することに気が付いたらしい。
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