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いない
次の日のテレビで彼の学校で飛び降り自殺があったことが報じられていた。ボーッと見ていた時に電話が鳴ってお母さんが話しているのが聞こえた。
何か胸騒ぎがして落ち着かなくなって
彼にメールをしようと携帯を開いた。
ごめん約束守れそうにない
もう頑張れない
彼からのメール、お母さんからの涙ぐんだ声
「〇〇くんが亡くなったって」
全てを悟った。なんで、なんで彼なんだ
なぜいなくなってしまったのか
私は理解できなくて家を飛び出す。
彼の家へ
確かめなくちゃ
嘘だ絶対何かの冗談
分からない
なんで
なんでなの?
昨日電話した時は普通だったのに
彼の家は近くてすぐに着いた。ベルを鳴すと目を真っ赤にした彼のお母さんがいて私にうっすら笑った。
「来てくれてありがとうね、私もまだ電話で聞いただけで混乱してて…ウッ…」
手に持ったハンカチは、涙や鼻水で濡れグッショリとしていた。
私は何も言えずにその場をまた走って離れた。
あの表情から嘘ではないことが身に染みるようにわかる。
彼の学校へ行かなくては
なぜかそう思い、電車に乗った。
長い長い道のりのはずなのに、頭が真っ白で何も考えられなくて、すぐに着いた気がした。
もう空は真っ暗だった。
手に持っている携帯で学校を調べて歩く。
携帯とお財布しか持ってない私は身軽なのに
心は重い。
これから知ろうとしている事実が怖くて、いろんな悪い方向を考えてしまって私に重く、重くのしかかる。体は冷えて寒いぐらいなのに、握っている手にはすごい汗で手が震えている。
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