第2章

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「これに使ったのはマンドラゴラの皮です。マンドラゴラって魔力をたくさんあげるとお礼に皮を脱いでぼくにくれるんですよー。」 勝手に抜くと悲鳴を上げて枯れるけど、皮を脱ぐだけだと静かにすぽんと抜けてまた植えればまた成長する。種を付ける季節に葉っぱの付け根をくすぐると、ぷるぷるした後、小指の先ほどの種を断続的に飛ばすので、拾い集める。 種はエリクサーの材料になる。 「そんな採取方法があるなんて…」 「だから気にしないで下さいね?」 コナンさんとは反対につやつやぴかぴかのケルピーが一声いなないたのを合図に、ブリアンと一緒にりんちゃんに乗ってブリアンの領地へ行った。 ************** 「ブリアン様!よくお戻り下さいました!!」 「ロルカン、済まなかったな。」 「いいえ、ブリアン様のお戻りを信じておりましたから。」 「紹介しよう。スイ、こちらでの一切を取り仕切ってくれている執事のロルカンだ。ロルカン、私の伴侶のスイだ。」 「ロルカンと申します。何なりとお申し付け下さいますようお願い申し上げます。」 「あっ、あの!!召喚術士で薬師のスイです!ロルカン様、よろしくお願いします!」 「使用人に敬称、敬語は無用です。」 「は、はい!ロルカン、よろしくね。」 「大変よろしゅうございます。」 なんだか先生みたい。年上の人を呼び捨てにするなんて気が引けるけど、褒められたから頑張ろう! 「納得できません!!」 「リノス!口を慎みなさい。」 「イヤです。私達の憧れのブリアン様が領地を見捨ててでも添い遂げようとなさった方が…こんなに地味な方だったなんて!!」 また地味って言われた…。本当の事だから仕方ないけど、落ち込むのも仕方ないよね。 「スイ、顔を上げて?リノス、私のスイを嫌うのなら辞めてくれて構わないよ。」 「そんな事言っちゃダメ!」 「だが、私が1番癒されるのはスイなんだよ?主人の好みを理解せずに自分の好みを押し付けて来る使用人なんてメイド失格だ。」 「そのとおりでございます。我らは主人が快適に心安らかに過ごせるよう心がけるのが仕事です。それを自分の好みに合わないからなじるなど。即刻解雇致します。」 「…そんな…」 ちょっと待ってー! そこはちゃんと話し合おうよ。
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