*十六* もっと笑ってよ

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 完成図もよかったけれど、実物はとても素敵だった。  木の板で少し高めになった床の四方に頑丈な白い柱が立ち、さらには真っ白に塗られた木の板が屋根になっていた。この四方を囲む網を編むのは、結構大変かもしれない。だけど、そうすることで風通しがよくなるのなら、頑張るしかない。  お昼ご飯を食べた後、わたしは早速、小屋の掃除をして、ウィケウスの花を干す準備をし始めた。  ウィケウスの花を干すのは、根っこから引っこ抜いて、束にして、逆さにして乾燥させる。乾燥が終われば、花と葉と茎とより分けて、花だけを煎じて飲むのだ。葉と茎は、よく燃えるので、薪に火を付ける基材となったりする。ウィケウスの花は甘い香りがするのもあり、葉と茎も燃やすと特有の甘い香りがして、わたしは結構、好きだ。  なぜ、花だけ乾燥させないのかというと、ウィケウスは花だけ必要なのだけれども、葉と茎も水分を多く含んでいるため、普通に燃やせないのだ。それに、下手にその辺りに捨ててしまうと、ウングラがやってきて荒らしてしまうため、時間が掛かっても乾燥させて、燃やしてしまうのが一番なのだ。  葉と茎にも利用方法が他にあればいいのだけど、今のところは廃棄処分するしかない。     
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