*十六* もっと笑ってよ

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「前にルベルからウィケウスの花は風通しのよい小屋で乾燥させると聞いていたから、私なりにいろいろと資料に当たって考えてみたのだよ」 「え、これ、ラーウスさまが設計されたんですか?」 「いや、完成図だけだ。ここに置いても問題のない見た目と、風通しの良さを兼ね備えた小屋と考えたら、こういうものになったわけなんだが……」  たしかにこれだと風通しはよいけれど、風を遮るものもないし、雨が降ったら、横から降り込んできてしまう。 「これでもいいのですが」 「うん」 「壁がないんですね」 「あぁ、壁はルベルが編んでいた編みを代用してはどうだろうか」 「え……それだと、雨が降り込んだとき、困りませんか?」 「そこは雨避けの魔法を掛けるから、大丈夫だよ」  あぁ、そうか。  ラーウスさまは植物学が専門とはいえ、国最高位の魔法使いだった。すっかり忘れていた。 「問題がなさそうです」 「ふむ。それなら、これですすめてほしい」 「はい、かしこまりました」  強面の棟梁はラーウスさまから恭しく完成図と設計図を受け取ると、作業員たちに指示を出し始めた。 「すごい、素敵です。小屋というよりガゼボみたいです」 「あぁ、そう言われてみれば、そうだな」  わたしたちは部屋に戻り、トンカンと音が響く中、仕事をした。  そして、棟梁が言ったとおり、小屋はお昼までにできあがった。     
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