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赤い顔をしながらベッドから降りて、隣の部屋に行き、畑作業がしやすい服に着替えた。そういえば、ここのところ、騎士服に袖を通していないような気がする。それだけこの国が平和だという証拠なのだろう。
わたしたちは、それぞれの部屋で朝食を済ませて、執務室へと向かった。
ラーウスさまはすでに机に着いていて、なにやら調べ物をしていた。
わたしが入って来たのを視界の端で確認すると、椅子から立ち上がった。
「それでは、行くか」
「はい」
薬草園に行くには、執務室のベランダに一度出て、そこから庭に降りて行く。
「ベランダに小さな小屋を建てようと思っているんだ」
「小屋……ですか?」
「あぁ。執務室で薬草を乾燥させるにも、スペースがそろそろ足りないだろう」
「そうですね」
今の執務室の半分は、薬草を乾燥させるために埋まっている状態だ。四分の一のスペースにはラーウスさまの蔵書と書類、残り四分の一が執務スペースとかなり狭い。
「幸いなことに、ベランダは無駄に広いから、ここを小屋にしても問題ないだろう」
「……問題ないというより、見た目の問題で……」
せっかくのベランダに小屋を置くと、執務室に入ってくる光も遮られるし、そしてなによりも、そんなものがあるのは景観的にどうなんだろうか。
「それなら、問題ないよ。ベランダに合った小屋の外観を考えているし、そしてなにより、すでに陛下の許可は取ってある」
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