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「仕事でなければ、このままベッドに持ち帰りたい」
「ラッ、ラーウスさまっ!」
「ほんと、かわいいなぁ。かわいくて、手放したくないよ」
ラーウスさまはことあるごとにわたしのことを“かわいい”とおっしゃるけれど、そんなにかわいいと思うような行動を取っているとは思えない。
「ルベル、私は本当に幸せ者だよ。好きな人が常に側にいて、一緒に仕事ができる。私は今、本当に幸せだよ」
そう言って笑ったラーウスさまの笑顔に、わたしは思わず、見とれてしまった。
本当に幸せそうに笑っていて、わたしもつられて、笑みを浮かべた。
「わたしも、幸せ過ぎて怖いくらいです」
「怖くはないよ、ルベル。なにも心配しなくていい」
ラーウスさまはもう一度、わたしの額にキスをすると、するりと腰から手を離し、手を握ってきた。
「さて、様子を見に行こうか」
「はい」
わたしたちは手を繋いで、並んでニックスの花の元へと行った。
ニックスの花は、太陽の光の下では、しんなりとしぼんでいた。昨日の幻想的なまでも美しい花弁を知っているだけに、ちょっと淋しい気分になったけれど、それでも、ニックスの花は、しぼんでいても美しかった。
「このまま置いておけば、問題なく種になりそうだね」
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