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*十六* もっと笑ってよ
◆ ◆
薬草園に水をあげたり、様子を見たりしていると、ベランダにわらわらと人が集まってきていた。
どうやら、小屋を建てるための大工さんがやってきたようだった。
ラーウスさまは執務室から出てきて、なにか指示を出していた。
大工の棟梁らしき人と話をしていて、しきりにうなずいていた。
わたしは手早く作業を済まし、ラーウスさまの元へと向かった。
「あぁ、ルベル。小屋はもう組むだけらしいので、お昼過ぎにはできるそうだよ」
「え、早いですね」
「それほど大きなものではないからね。ところで、ルベル」
「はい」
「本当にこんなに風通しのよい小屋にしてしまっていいのかい?」
とラーウスさまは棟梁から受け取った設計図をわたしに見せてきた。
設計図を見ただけではよく分からないから、首を傾げていると、横から、棟梁が完成図を見せてくれた。これなら分かりやすい。
そこに書かれていた小屋は、白を基調としたもので、小屋というより、木の板が敷かれた四方に柱があり、屋根がある、大きめのガゼボみたいなものだった。
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