1245人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
今、殿下から任されている仕事は、落ち着いたはずだ。だから明日と明後日は休みになっている。それにプラスして三日くらいなら休めるだろうというもくろみで言ったのだけど、殿下は驚いたようにそう言った。
ねぇ、殿下の職場ってブラックだと思わない?
一応、休みはある。あるけれど、休んでいても殿下は部屋に訪ねてきて、しばらく手を握って離してくれないとかってのもあるんですけど。
だからわたしは、休みの日でも、殿下に居場所を知らせておかなければならない。
……え、わたしの仕事はなにかって?
それは、こう見えてもわたし、騎士なんですよ。第三王子であるラーウス・アーテル殿下直属の騎士なんですけれど、世界がこうも平和だと、騎士として護衛なんてほとんど必要がないため、殿下の仕事を手伝っているという、他の騎士が見たら嘆きそうなことをやっている。
わたしとしては、騎士で護衛といってもすることがないから、暇で仕方がないから、殿下の手伝いってのはありがたいんだけど。
でも、だからって、片時も離さないというと言いすぎだけど、それに近い状況は止めて欲しい。
ラーウス殿下は何事かを考えていたようだけど、ようやく考えがまとまったのか、口を開いた。
「ルベル、理由は? 行き先は?」
うん、聞かれますよね、それは。
だからわたしは、あらかじめ用意していた説明をすることにした。
最初のコメントを投稿しよう!