第三話

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盛大に大盤振る舞いする日もある。 ただ、流石に頻繁には実行したりはしない。 せいぜいが3日に1度。 この家の住人たちはたまに死にかける事はあれど、家事の面で概ね楽ができているので良しとしている。 次にステラ。 金髪碧眼の美少女である。 彼女は口をつぐんでジッとしていれば、大変に美しい。 名工による氷の彫像のような、ファンタジーの世界から現れた妖精のような、空から舞い降りた慈愛の天使のような、尋常でないほどの美貌を誇る。 あともう10年も経てば、世界中の富豪や王族がこぞって求婚を申し込みそうな、そんな予感を抱かせる程に。 だがそんな美辞麗句を引っ提げた容姿も、ひと度スイッチが入ると全てが台無しとなる。 「クキャキャキャキャ! 臓物ぅ、臓物はどこだぁあ!」 彼女がなぜ血に飢えているかは謎だ。 タケルが転生した当初から彼女は残虐であり、彼の脳内には予備知識として手遅れである事が書き込まれていたのだ。 判っている事はただひとつ。 この血なまぐさい少女は『本当の朱』を求めているのである。 夢にまで見た朱を探し、彼女は今日も刺す。 無慈悲に、そして無邪気に刺す。 神の力を得たタケルで無ければ、とうの昔に絶命させられていただろう。     
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