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第四話
タケルが異世界に転生して何が巻き起こるか。
何をしでかすか。
その答えは、皆無である。
少なくとも彼自信が自発的に動くことはない。
やる事と言えば、せいぜいが同居人たちとの触れあいくらいだ。
例えばニコラと。
台所で真剣に作業をする彼女を後ろから抱き締めてみたりする。
「あら、どうかしたの?」
「何してんのかなって」
「大したことしてないわ。ちょっと思い付きを試してるだけ」
「へぇ。どれどれ?」
「ヤダッ。恥ずかしいから見ないで」
頬を上気させながらニコラが手元を隠す。
指の隙間から垣間見えたのは、見慣れない草やツタ、動物のものらしき内臓、異様にカラフルなキノコなどなど。
それらがすり鉢の側に並べられていた。
ニコラはちょっと照れたように笑い、タケルの耳元で囁いた。
「今日の晩御飯は頑張っちゃうから。期待してて、ね?」
彼女が一体何に対して精を出すかは、もはや言うまい。
そろそろ3日だ、との言葉で十分であろう。
それからはステラに構う。
彼女の美しい髪を撫でようとする、が。
「てめぇぇ! 気安くさわんじゃねぇぇ!」
絶叫と共にナイフが振り上げられ、一直線にタケルの胸元へ突き立てられた。
鮮血が飛び散り辺りを赤く染めた。
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