復習するは稀にあり

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新興住宅地・ミホとその家族が暮らす一軒家 早朝。 俺は自分と髪乃塚を羽衣で結び、彼女をおんぶしてミホの自宅の前に立っている。 羽衣の効果で、俺たちの姿は周りには見えないが、それでもジョギングをする人や新聞配達の自転車、コンビニ配送のトラックに当たるとそれなりに痛かったり、怪我をしたり、最悪死んだりするので、それらを避けながら立っているのであった。 「どうだ髪乃塚、ミホの様子に変化は有ったか?」 「いいえ、あれ以降は変わった反応は有りません」 なぜ俺達がこんな時間に、こんな状態で、こんな人ん()の前にいるのか?  勿論、理由が有る。 昨夜。 真利奈が肩を落としながら、屋敷に帰ったのを見届けた後、俺と髪乃塚も勇者の宿に戻った。 ひとっ風呂浴びようとした俺に、背中を流すとか抜かした髪乃塚が風呂場への乱入を図ったので、洗い場で全裸の男女によるMMA(総合格闘技)対決が始まりそうになった。 「シンイチさんも変わった人ですねえ。普通の男性なら泣いて喜ぶシチュエーションですよ」     
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