「約束があるんだよね。二人の」

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先日の誕生日での失敗の時、一貴に対して必要のない詫びを入れた後、顔をあげた里緒が「気を取り直してパーティ、パーティ」と言ってお道化て見せた微笑み、それを見た時の感情が蘇り、一貴は唇を噛んだ。 (彼女にあんな寂しい笑顔作らせるなよ) 始業のチャイムが講堂に響き、講師の准教授が登壇する。あわてて筆記具を取り出そうとした一貴の筆入れからボールペンが床に落ちる。それは半すり鉢状の講堂の床を下に向けてカラカラと転がっていった。自分でもハッキリとわかるくらいの舌打ちをして、一貴は別のペンを手に取って講義に備えた。 (何イラついてるんだ) 焦るなよ、一貴は自分にそう言い聞かせた。
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