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女性はバツが悪そうに、ショートヘアの毛先をいじる。
知り合いなのは間違いなさそうだが・・・・・・一貴は記憶障害につけ込んでくる者がいるかもしれないから気を付けるようにと、里緒やまどかから釘を刺されていた事を思い出した。
「あの、ごめん。誰かな?」
「そうか、覚えていないなら自己紹介しなくちゃね」
肩にかけたトートバッグからカワイイ系のキャラクターケースを取り出し、『ラクリマ・ローゼオ Gt. Vo.担当 SYOKO a.k.a美祢翔子)』と書かれた名刺を一貴に差し出した。
「ラクリマ、ローゼオ・・・・・・バンド? ショウコ?」
「ショーコこと美祢翔子、ヨロシク! 瀧島くんもウチのメンバーなんだよ。」
(そういえば、ヨータローが言ってたな。俺達、一緒に軽音やってるって)
「瀧島くんはキーボード兼マニピュレーター担当、それにコンポーザーもしてるのよ」
「そうなんだ。俺、そんな事してたんだ」
自分の事ながら意外に感じる。
「ねえ、軽音にはいつ顔を出すの? 良かったら一緒に行く?」
「いや、まだ……」
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