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自社のモデルが集まっているテーブルへ行き、一砥は皆に「どうだ、少しは顔を売れたか」と声を掛けた。
LuZ所属のモデルは総勢五十名余りだが、ゲストとして招待されているのはトップの売れっ子数名だけで、残りの子達は参加させてもらえていない。
コンパニオンとして自社モデルを使うことをしない一砥の方針で、まずは事務所のパーティーに出して貰うことが、LuZのモデル達の目標にもなっている。
「はい、結構名刺を貰えました」と笑顔で答える子達もいる中、ピンクのカクテルグラスを片手に、ARisAこと高蝶亜利紗(たかちょうありさ)が、「私は別に、売る必要ないもん」と生意気な反論をした。
「じゃあ何しに来たんだ」
怒るでもなく一砥が問うと、亜利紗はツンと顎を上げ、「別に、社長には関係ないもん。放っておいて」とそっぽを向いた。
そんな態度でも、黒のチュールドレスを着て一部の隙もなく着飾った彼女は、高価なフランス人形のように美しかった。
すると亜利紗の隣にいた紫苑が、「ARisAが不機嫌なのは、目当ての人が欠席だからだよ」とボソリと呟いた。
こちらは大胆なショートのオールバックという髪型に加え、白いシルクシャツに黒のタキシードと、男装の麗人さながらのイケメンぶりで、男性客でなく女性客の視線を集めていた。
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