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「まあしかし、本物の方が何倍も美人なことは、社長もご存知ですよね」
「ああ……うん。確かに今日のパーティーで見たARisAは、あんなバーテンなど足元に及ばないほど、美しかった」
今日のパーティーで、二代目が亜利紗に熱心に話しかけるものの、全く相手にされず焦っていた姿を、一砥は遠目にしっかり見ていた。
「そうでしょう? 何しろ彼女は、うちの一番の人気モデルですからね。日本でもトップクラスの実力と美貌を兼ね備えた、いわば生ける宝石です」
「生ける宝石……、確かにそうだ」
女性バーテンダーのことなどすっかり忘れた顔で、二代目はウンウンと深く頷いた。
「ARisAの価値を理解して下さる方とこうして一緒にお酒が飲めて、光栄ですよ。どうでしょう、今度そちらのアパレルブランドのイメージモデルに、うちのARisAを使っていただくと言うのは」
「えっ!」
「その際は撮影現場にもぜひ、社長に足を運んでいただいて。ああそうだ。今度顔見せも兼ねて、ARisAも交えてお食事でもご一緒にいかがですか」
「ほ、本当に、ARisAと食事を?」
「ええ。まあ、彼女は気位も家柄も全てが一級品ですからね。お酌をして差し上げるというのは難しいでしょうが、お食事くらいならいつでも」
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