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1.長い夜に………
今日の当直医は救命医の笹山ゆみと、奥村優華の二人。この二人がコンビの時には、必ずこの救命センターは修羅場と化す。
プレミアムフライディーの午後11時50分。エマージェンシーコールが静まり返ったセンター内に鳴り響く。
「はい北部救命センターです」
「こちら北部レスキュー高橋です。自動車による交通事故負傷者2名の搬送受け入れをお願いいたします」
「了解しました。状態は?」
「1名は徐脈によりAED使用、心拍戻りません。もう1名は意識あり、頭部より出血、左側腹部に金属片の様なものが刺さっています」
「わかりました。搬送お願いいします」
「了解」
受話器を置き、ディスクに向かう奥村優華の後ろから手をまわし
「ねぇ、優華ちゃん2名だって、一人は心肺停止みたい」
「嬉しそうね」
「そうぉ?だって今日暇じゃない」
「私たちが暇って言う事はいい事じゃなくて………」
「まぁね」
「それより、いい加減私の胸、撫でるのやめてくれない?」
「いいじゃない減るもんじゃないし。何なら私の胸も撫でてみる?」
「馬鹿な事言ってないで、ゆみも気持ち切り替えなさい。行くわよ」
「うふふ、さぁーてやるとしますか………」
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