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「あっ、紹蔭だ」 一人が声をかける。 「お、おはよう?」 自分に注目が来ていることに疑問を感じつつも、弥沙は自分の席に向かう。 「なぁ、紹蔭、今日来た転入生ってさ・・・」 誰かがそこまで聞いたとき。 ガラガラガラ 今度はドアを開ける音に、質問が遮られた。 「こら、席につかぬか、チャイムはとっくに鳴ったぞ」 蘭子先生が入ってきて、生徒たちは残念そうに自分の席へと戻った。 「おはよう、頼人」 弥沙は、机に突っ伏している頼人に声をかける。 「・・・はよ」 頼人はそのままの体勢で答える。 「だめだめ、返事はするけどいつものままよ。ほうっておきましょう」 弘子に言われ、弥沙は苦笑する。 原因がわかっているだけに、踏み込めない。 頼人になんらかの変化が見られれば良いが、と、今から起こることに期待しつつ、弥沙は前を向いた。 「ほぉら、静かにせんか。今から転入生を呼ぶ。皆、くれぐれも失礼のないように、騒ぐでないぞ」 教壇の前では、蘭子先生が外で待つ転入生を呼びにいくところだった。
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