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「み、弥沙?美弥子さんは?」 見ていたはずの頼人なのに、まったく状況が飲み込めないでいる。 「ごめん、話はまた。僕、行かないと」 駆け出した弥沙を呆然と見送った頼人だが、ハッと我に返ると、すぐに弥沙を追いかけた。 「俺も行く」 突然横に来た頼人を見てびっくりする弥沙。 「頼人には関係ない。帰れ」 走りながら言った弥沙の声は、いつになく冷たく感じられた。 「嫌だ」 一瞬足を止めようかと思った弥沙だが、立ち止まっている暇はなく、そのまま走り続ける。 「足手まといだ、ついてくるなよ」 「嫌だ」 「迷惑だ。帰れよ」 「嫌だ」 嫌だの一点張りに、弥沙は次第に苛立ちを覚える。 「危険なんだよ。それに、まだ迷っているんだろ?来たら普通の生活に戻れなくなるぞ。それでもいいっていうのかよ!?」 自分でも珍しいと思うくらい、弥沙が声を荒げた。 「・・・けない」 「なに?」 「ほっとけないんだよ!友達だろ?」 頼人の言葉に弥沙は目を見開いた。 友達だから、って、ただそれだけで自分の人生、決めちゃっていいのかよ・・・ 叫んだ頼人の方を盗み見ると、走っているだけじゃない、頬の染めているのが見えた。
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