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六月の雨は、空も心も曇らせる。 このところ、窓の外を見てはため息を吐いている頼人に、斜め前の席に座る弘子は、心配の色を隠せない。 「頼人、悩みごとなら、一人で抱え込まないで言いなさいよ」 「うん・・・」 弘子の優しさにも、曖昧な返事しかしない頼人。 「うん、って。うん、じゃわからないでしょ。もう」 いつもならすぐに相談してくれていたはずの頼人が、何かを抱え込んでいる、ということは弘子には感づいていた。しかし、その何かを、本人が話してくれない限り、どうしようもないのだ。 頼人を心配する弘子を見て、怒りを露わにするのは、優真。 「おい、頼人。俺の、弘子がこれだけ心配してやっているんだぞ。なんとかいったらどうなんだよ!」 「ちょっと優真、悩んでいる人に怒ってどうすんの?それに、私はあんたのモノじゃないからね」 「だって、弘子が頼人ばっかりかまうから・・」 「あんたも少しは悩みごとくらい持ったらどうなの?この脳天気」 「うぅう。弥沙ー、弘子がいじめるよぉ」 弥沙はすり寄ってきた優真の肩をポンポンと叩きながら、頼人の方が見た。 いつもなら、みんなで盛り上がるはずなのに、話に入ってこない頼人は、 「はぁぁぁ」 本日何度目かの大きなため息を吐くと、机の上に顔を突っ伏した。
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