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「そんな、勝手にっ・・・!!」 頼人に怒りがこみあげてくる。 知らない間にコントロールされていたなんて。 「あの日、美弥子が目を開けたと同時に、頼人、倒れただろ?力の暴走で、もしかしたら鬼化するのでは、と思ってかけたんだよ。まぁ、実際は、いびきかいて眠っていただけだったけどね」 弥沙の溜息まじりの言葉に、頼人は思い出す。 美弥子が目を覚ましたことを見届けた安心からか、徹夜で書物を読んでいたからか、頼人の記憶はなくなった。 そして気が付いたときには、自分の家の布団で寝ていたのだ。 家族に聞けば、和沙と弥沙に車で送ってきてもらったらしいのだが、なんでも寝ぼけながら、自分の足で部屋へ上がって行ったとか。 「あ・・・あぁ。俺・・・そっか、ごめんなさい」 急に倒れた自分を心配してくれていた人達に怒るなんて、と、頼人はとたんに恥ずかしくなり、顔を真っ赤にさせた。 「ほんとだよ。この一週間、話そうとしても心ここにあらずだし、いくら呼んでも溜息ばかり。おまけに授業中、先生たちも当てても反応ない、注意しても反応ないから、最後には諦めていたよ」 「記憶にない・・・」 弥沙の告白と頼人の言葉に皆が笑う。 「それだけ、頼人くんには書くことが大切なんだろう。だからこそだ、これからのことを考えてほしい」 それまで黙っていた雅弥さんが言った。 「これからのこと?」 「そう。以前、美弥子に会ったと言っていただろう。美弥子は鬼の気配を察して、鬼のいるところへ移動する、という術を使う。美弥子に聞いたところ、あの日、偶然に君に会ったのではなく、鬼の気配を感じて頼人くんの元へと導かれたらしい。つまり、それは、私たちにとって、保護対象となるんだ」
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