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「保護対象・・・」
頼人は不安になり、雅弥に聞き返した。
「それは、俺はいつでも鬼になる可能性があるということですか?」
「その通りだ。万が一、鬼と化した場合は、排除対象となることを覚えておいてもらいたい」
まっすぐに頼人を見つめる雅弥の目には、力は籠っていてそらすことができない。
「排除・・殺されるという、こと?」
頼人の背中を冷たい汗が流れる。
「ああ、それが嫌であれば、弥沙のように修行をし、力をコントロールする力を持つ、もしくは、こちらで君の能力を封印させてもらうが」
「封印?」
雅弥はうなずく。
「この一週間そうであったように、能力を使おうとすれば、制御が働くようにする。孫悟空の頭の輪と同じだ。君の場合は、書くことに能力をこめてしまうと、かかるかな。それ以外は普通の生活を送れる。逆にコントロールする力を持つということは、常に我々の監視下に置かれるということだ。どうする?」
鬼や死、制御や監視。いきなり突きつけられた自分の運命に頼人はとまどい、返事ができない。
「あの・・・えっと・・・」
どう返事をしたらよいのだろうか・・・。
「頼人に、もう少し時間をください」
隣で弥沙が頭を下げた。
「弥沙?」
「僕がそばにいて頼人を監視する。だから、頼人が答えを出すまで、もう少し待ってあげてください。お願いします」
弥沙は言うと、頼人の頭を無理矢理抑え込み、「ほら、頼人も」と促した。
「お願いします」
「お願いします」
大人たちは顔を見合わせると、頼人と弥沙と一か月という許可を出した。
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