幼馴染を送り込もうと思ったら巻き込まれた

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たぶん一時間くらいは歩いただろうか。 「マジでなんもねぇ……」 同じ所を無限に歩かされているんじゃないだろうか。 「ここ本当に異世界か?実は俺たちもう死んでたりして」 「やめろー。まだ死にたくなーい」 「棒読みすんな」 「でも本当はここって、私たちが来るはずじゃなかった気がする」 「は?」 「実はさ……」 気がするっていうか確信してたというか。 魔法陣の中に惠を押した時、前方から歩いてくる男の子達がいたんだよね。 なんていうか、それこそテンプレになりそうなイケメン勇者と巻き込まれ系の二人組。 「それを私たちが台無しにしたわけだ」 「ほう、じゃあこの世界の神とか呼び出した国とかあったら俺たち殺されるかもね」 「もうその準備はできたようだ」 「なに?」 前方に指を向けるとそれを追って惠の視線が移動する。 「「……」」 なんと表現したらいいのか……。 「惠ちゃん、象がいる」 「二足歩行する象とは、さすが異世界」 「しかもなんかこっちに向かって走ってきてるよ」 「人間が大好きな動物かもしれないだろ」 「じゃあテメーが戯れてこい!!」 惠の背中を思い切り蹴飛ばし、よろけた隙に私は元来た道を全力で逃げた! 「ふざけんなごらぁぁぁぁ!!!」 やだこわい。 二足歩行の象に加えて変な動物まで追いかけてくるなんて。 さすが異世界半端ないっす。 追いついた惠と進路をあちこち変えながら走る。 走って走って……なんかすごく変。 「なぁ、ずいぶん走ったけど疲れないのはなんでだ?」 「そういやそうだな。今も走りながら話してるのに余裕だし」 「まさか……」 「これが……」 「「異世界パワー!!」」 といっても後ろの象は撒けてないんだけどね。 二足歩行なのに足速すぎだろ。 「悠姫(ゆうき)!森だ!」 「おー!?初めて視界に草以外の植物が!!」 「もしかしたら今の俺たち木登りできるかもしれないぞ!」 「だな!あの巨体じゃ登れないだろうし意地でも登ってやる!」 森まで全力で走って目についた一番でかい気に飛びつく! が、しかし!! 「「登れなーい!!!」」
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