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なんなのこの世界。
私たちを生かしたいのか殺したいのかわからん!
「惠しゃがんで!」
「踏み台にしようってのかテメー!?」
「エスパー!?」
「お前が踏み台になれ!てか奴らに踏まれろ!」
奴ら?
一匹しかいなかっただろ。
いや、象なら一頭か。
振り向くとそこには十頭くらいいましたとさ。 完
「だがしかし、こんな所で終わってたまるか」
「なにブツブツ言ってんだ」
「黙れ。それより登れないならもう走るしかない。幸い追いつかれることはないし、疲れもしないからとにかく人がいる所まで逃げよう」
「だな。それかお前が囮になれ。俺が助けを呼んできてやるから」
「奇遇だな。私もお前に囮になれと言うところだったんだ。でも優しい私は一緒に逃げようと提案してやった。惠ちゃんてば弱虫」
「なにいい人ぶってんだ。男女が」
互いに掴みかかろうと動いた瞬間、象の群れが凄い地響きを立てながら向かってきた。
とにかく走ったがこれは誤算だった。
森の中には倒れた木や大きな岩などがところどころにあるんだが、これを避けるとすっごく時間をロスする!
対して象はその巨体で障害物などものともせず真っ直ぐ走ってくる。
差は縮まるばかり。
「くっそ、また木かよ!悠姫飛び越せ!」
「特殊部隊じゃねーんだぞ!」
異世界がくれたのは持久力だけか?
息が切れることはないが逃げ切れなきゃ役に立たん!
必死に逃げるがもう少しで追いつかれるってところで人が住んでそうな村みたいなのを発見した。
木で囲ってあるから人の手が加えられてるのは間違いない。
「惠!」
「あそこまで全力で走れ!!」
もうずっと全力だっつーの。
村の門みたいなところにたどり着き、二人でガンガンと叩きまくる。
門分厚そうだけどこれ音が届いてるのか?
「おい!誰かいないか!?」
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