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でも、ただ、確かなことは
あの日、あの場所で、「僕」も「君」も同じ記憶を共有しあったまま
互いを浸食していく絶望にすがりつきながら笑っていたこと。
青く澄んだ潮騒の匂い。
豊かな海の底から泡とともに生まれては風の彼方へと消えてゆく虹の音。
そして、「君」と「僕」が生まれ育った小さな海辺の町。
それはもうずっと昔から、あたたかく人々を照らし続けてきた太陽のように当たり前に。いつまでもふたりの側で存在してゆく未来のはずだったのに。
伏せた瞼の裏の世界は、いつも、優しい光と自由に満ちている。
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