ナマケモノ

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 三日目の朝を迎えた。だが、バール星人は一向に動こうとしない。頭痛は治まったが倦怠感が昨日より強くなっているように感じた。さすがに、今日こそは狩りをしなくてはと思うも思ったように身体を動かせない。それどころか、思考すらも鈍くなっている。動こうとすればするほどに、思考は止まり身体の自由が効かない。  きっと、この星の環境に身体が馴染んでいないのだろう。勝手にそう結論づけて、今日も動くのをやめた。顎のヒゲが少し伸びてきたが、剃る気も起きない。今はひたすら、動かないことが楽に思えた。 「キッキッ」  ナマケモノは動かないバール星人をジッと見つめていた。  あと数日もすれば、彼らは全身に毛が生えてくるだろう。そうすれば彼らは自分達と同じナマケモノになる。  数百年前、楽をして生きられるようにと行動と思考を弱くする働きがある果物を生み出し、それを食したかつての支配者(人類)と同じように。  もっとも、子孫のナマケモノはそんなことは知りもしない。今、彼らは自分達の仲間が増えることを何よりも喜んでいるのだから。
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