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「まだ夕方でっ」
「すぐに暗くなっちゃうよ? それに、急いで帰る用事もあったんじゃない? ほら、歩いて」
「い、いい! いいってばっ」
「はいはい、帰りますよー?」
私を追い越して前を歩く秋月君。
私の家はその方向だから当然、その後ろを歩くことになるわけで……。
前にも生徒会の会議で遅くなったことがあった。
先生が「遅いから必ず誰かと帰るように」とお達しを出したけど、私のはひとりで帰る気満々だった。
だって、一緒に帰るような友達なんていないから。
そんな私に声を掛けたのも、秋月君だった。
「大丈夫だから」と言ったのに、「送ります」と言い張ったのは、他に帰りたがる人が居ない私を可哀想とか思ったのだろう。
それに先生に「ちゃんと送れよ?」と念押しされたから。
だから彼は、私の家を知ってる。
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