monologue1

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――どうしよう。 今すぐ断って冗談のように扱ったことを謝るべきなのか、今すぐ逃げるべきなのか頭が混乱して分からない。 緊張に身体が強張り、息を詰めていれば、男性が身動きする気配に思わずビクリと震えてしまった。 「ご、ごめんなさい……」 申し訳なくなって、咄嗟に小さな声で謝る。 「いや、君を怖がらせてしまってすまない。許してもらえないだろうか?」 心なしか沈んで聞こえる声に、恐る恐る顔を上げて男性を見る。 すると、男性は申し訳なさそうに眉を寄せていた。 きっと本当に悪い人ではないのだ。 そう思ったら少しだけ緊張が和らぎ、自然と笑みが浮かぶ。 「最初は驚きましたけど、気にしてないので大丈夫です」 本当は冗談だと思っていたとは言えない。
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