monologue1

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すると、安心したように男性が表情を和らげる。 「ありがとう。君は優しい子だな」 「……!」 本当にごめんなさい。 後ろめたい気持ちで胸がいっぱいになる。 別に同性愛に嫌悪感があるわけじゃない。 一部の場所では同性同士の婚姻が認められるようになったし、最近では同性愛のドラマも出てきたりと世間も前向きで、それを否定するつもりもない。 だけどそれが自分に結び付く日がくるとは夢にも思ってなくて、どうすればいいのか分からないのだ。 密にダラダラと冷や汗を流していた時だ。 「間違っていたらすまない。見たところ君は一人暮らしをしているみたいだが、当てはあるのだろうか?」 急に突きつけられた現実に、鬱々とした気分が戻ってきて思わず俯いてしまった。 当てはない。何処にも行くところなんてない。 ぎゅっと、缶珈琲を握る手に力が入る。 だめだ。男性が見ているのに落ちこんでいたら心配させてしまう。 「……大丈夫です。まだ一月あるのでどうにか頑張ります」 なるわけがない。 否定する心を押し殺し、取り繕った笑みを浮かべゆっくりと顔を上げる。 「酷いことを言うが、一月では何処も見つからないだろう。見つかるまでホテルを転々とするにも、見たところ学生の君に金銭的余裕があるようには思わない」 「……っ!」 冷水を頭から浴びせられた気分だった。 男性が言ったことは嫌というほど分かっている現実で、まさかここまではっきりと指摘されるとは思ってもいなくて狼狽える。 思わず言葉を詰まらせ泣きそうになっていれば、真剣な眼差しをした男性に缶珈琲ごと両手を包まれる。 大きな手のしっかりとした感触に不覚にも更に泣きそうになってしまった。 「俺の家に一緒に住んでほしい。俺には君が必要なんだ」 「……!」 どうしてこんなにもカッコいい人が俺なんかを求めてくれるんだろう。 疑問に思う程熱烈な男性に、弱った心は容易く揺れ動いてしまう。
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