monologue1

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だめだ。この人の気持ちを受け入れる気はないのに、自分が苦しいからって利用したらだめだ。 理由はわからないけど、男性は俺を好いてくれている。 断ろうとした時だ。 「俺はだめな男だ」 「――え?」 思いがけない告白に、一瞬反応が遅れてしまった。 聞き間違いかと思っていれば、男性は真剣な表情のまま続ける。 「家事はできない。食事は死亡しない程度に摂取していればいいと思っているし、仕事以外に能力がない。だがそのせいで周囲には散々窘められ、最近では家政婦を探していた」 「あ、あの……?」 自分は一体なんの告白を聞いているのだろう。 よくわからないが、事実だとしたらとても心配な内容しかない告白だ。 男性の言葉は止まらず、まだ続く。 「俺を助けてくれないか。君に住み込みで家事を引き受けて欲しい」 もしかしたら俺はとんだ勘違いをしていたのではないだろうか。 告白されたからそれを理由に同居を誘われたのだと勝手に思っていた。 だけど、告白からするに男性はただ住み込みの家政婦を探していただけのようだ。 ――死にたい。 激しい羞恥心がこみ上げ、居たたまれなさに今すぐ消えたくなる。 「勿論、今やっている仕事と学業が優先で構わない。俺は仕事の関係であまり家にいないため、君の空き時間に最低限やってもらえれば助かる。勿論給料も支払う」 羞恥心に固まっていただけなのだが、男性はどうやら迷っていると勘違いしたみたいだった。 「一日五万円。不満なら君の言い値を出そう。引き受けてもらえないだろうか?」 「……っ」 危機的状況の俺にとって、男性の申し出は好条件すぎるだろう。 住む場所も手に入る。今のバイトを続けながら高いお金も手に入る。 魅力的な条件にぐらぐらと心が揺れ動く。 「で、でも俺プロじゃないですし……」 一人暮らししている関係で最低限の家事はできるが、秀でているわけじゃない。 「問題ない。俺は君に引き受けて欲しいんだ」 即答だった。 思わず本当にいいのかと心配になりそうなほど、男性はきっぱりと言い放つ。
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