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「貴方の気持ちはすごく嬉しいですけど、大丈夫です!」
一緒に住めるわけがない。
それは他人と同居することに抵抗があるとか以前に、目の前の人がバイト中に告白してきた人だからだ。
やばい。どうしてこの人がここにいるのか分からないけど、今は逃げなければ。
「心配してくれて本当にありがとうございます。じゃあ俺はもう行きますね」
「待ってくれ」
早口で喋って早々に逃げようとすれば、男性に腕を掴まれ引き留められる。
――終わった。
残念なことにこの場に亜門さんはいない。
「俺の話を聞いてほしい。少しで良い、俺に君の時間をくれないか?」
「えっと……」
戸惑うほど真剣な瞳に真っすぐに見つめられて、とても断りにくい。
片づけなきゃいけない大問題を抱えてて、正直これ以上の問題はキャパオーバーだ。
だが、男性は容易く解放してくれそうな気配はない。
「……少しで良いなら」
結局、悩んだ末に頷くことにした。
よくわからないが、真剣な態度に根負けしたのと、悪い人には見えない男性を突き放し辛かったのだ。
加えて、冗談だとは思うが、バイトでは男性の告白から逃げたという後ろめたい気持ちもある。
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