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イヤな予感
九曜、六曜、牡丹が卦を凝視している。3人とも、表情が険しい。
芍薬が溜め息を吐いた。牡丹のあの顔は知っている。そして、九曜と六曜も似たような表情だ。おそらく、事態は試験初日よりも深刻になっているに違いないのだ。
「どうした? 3人が動かないぞ?」
アランが不思議そうに、微動だにしない三人を眺める。
「易の結果が思わしくないようです。」
芍薬がアランに答える。牡丹の様子を窺いつつ、しっかりお茶を嗜むことは忘れない。
「マーリンも占ってみてはいかがです?」
マリーが三人の様子から不穏な空気を察知し、マーリンに声をかけた。合流する際、六曜からパーティーを組んでいる理由は聞いた。
そして今、パーティーも10人になったこともあり、最新の状況確認のため3人が易を行ったところだ。
「私まで占ったら混乱しませんかね?」
マーリンは苦笑交じりにマリーに答える。魔法使いのマーリンはタロット占いと水晶球を使った透視が出来る。ただし、水晶球を使用した透視に関しては今回の試験では使用が禁止されている。
「え? マーリンも占えるの?」
「ええまあ… って、モナさん。占いは魔法使いのスキルの一つですよ?」
「だって訳わかんないんだもん?」
けろっと答えるモナに、マーリンは苦笑し魔力は一級品なのに、と呟く。
「なあ、なんでお前あいつと組んだんだ?」
さり気なくリザの隣に来たアーサーが、心底意味が分からないといった表情で尋ねる。
「…。腐れ縁の延長戦… ってとこですね。」
「同情するわー。」
いつの間にかアーサーとは反対側にいたアランがしみじみと言った。
「同情とか、されても結果は変わらないんでいらないです。」
「「ドライだな!!」」
芍薬の言う通り、この二人仲がいいんだな、と考えながらそろそろ相手をするのに飽きてきたリザが心の中で溜息を吐いた。
「済まぬがマーリン、君の力も貸してくれないか。」
六曜が神妙な顔でマーリンに声をかける。
「それは構いませんが、一体?」
「危険度が昨日よりさらに上がっているのが気になってな。出来れば透視をして欲しいのじゃが。」
そう言った九曜の顔色が悪い。
「…分かりました。」
マーリンはそう答え、不穏な空気にモナたちは互いに顔を見合わせた。
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