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 「あんた、実は今日何かおかしかったので、教頭が事情聞け言うたもんでなあ。何かあったんか?」  洋介はこの教師には頭が上がらなかった。そこで、事実を述べた。  「あんた、何か医者にコンプレックスでも持ってるんか?あの医者は評判悪いんやで。どうせ脱税か何かで捕まるやろう。」    事情がわかったことによって、この件はうやむやになった。  そして何事もなかったようにその年は過ぎて行った。          4章・土下座教師、暴力教師に変身    翌年、洋介は一年生の担任になった。  それと相前後して、洋介はウルトラ右翼に変身した。  その理由は、少々マイナーな宗教であったが、なぜかウルトラ右翼の宗教を正しいものと信じ、そこへ入ったからである。  それから暫らくは洋介は土下座を忘れてしまっていた。  自我が異様に肥大化し、尊大で居丈高な典型的な「教師病」に罹ってしまったのだ。  新一年生が入学してきたが、当然洋介の土下座事件なんか知らない。  「これからはとんでもない暴力教師になってやる。」  そう洋介は自分に誓った。    ある日のことである。自習監督に行ってチューインガムを噛んでいる生徒を発見した。  「おい、そこのガム噛んでいる奴、出てこい。」  すると、一人の男子生徒がガムを噛みながら出てきた。  すかさず洋介のビンタが飛ぶ。余りにも強く殴ったためか、彼がチューインガムを吐きだした。  「お前は幼稚園児か?今は遠足の時間か?」  すると彼は反抗的な目をこちらに向けたので洋介は切れた。  「何や、その目は?やんのか?」  と言うや否や洋介のローキックが炸裂した。彼は床に倒れた。  洋介は彼の顔を踏みつけ、言った。  「そんなにガムが食いたいのやったら食わせたる。この吐きだしたガムを食え。」  そして顔面キックである。  「先生、やめて下さい。」  誰かが言ったが、無視してキックをし続けた。  「こら、このガム食え言うとんのや。嫌か?」  鼻血と共に歯も折れたのか、口からも出血し始めた。
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