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今までは、自力で行くのはほとんど無理だった。リナリアが自分の記憶を補完している場所がどこなのかは、私もよくわからない。
……ここがどこなのかは、あとで考えよう。それよりも、急いで探さないと。
私は慌ててリナリアの花の一輪一輪を確認しはじめた。
水の祭壇の近くの、沼のほとり。その辺りに目星を付けて、花を確認する。
「あった!」
今まで、ここはただのセーブ画面だと思っていた。だから見てもスチルを探せばいいのかな程度にしか思っていなかったけれど、違ったんだ。
ここは彼女の大量の経験を蓄積させた場所だったんだから、辞書のようにして使い方を勉強しないと駄目だったんだ。
私は沼で、リナリアが穢れを祓っている場面を発見して、慌ててそれに触れて、内容を読み取る。
彼女は沼の中にまで入らず、沼のほとりから穢れを祓っているみたいで私とは状況が違うけれど……でも祓い方はわかった。
でも、気付いてよかった。
【幻想の具現化】は、ただ劣化コピーすればいいってもんじゃ、全然なかったんだ。
何度も何度もループしているリナリアほど上手くは使えないかもしれないけれど、母親人魚を助けるくらいだったら、できるかもしれない。
私はそう思うと、急いで意識を元に戻すことにした。
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