偽りの巫女と放蕩貴族の密談

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 俺はちらっとリナリアちゃんを見ると、彼女はきょとんとした顔で「どうかしましたか?」と尋ねてきた。 「いや、なかなか落ちない子の落とし方について、考えていたところよ?」  そう冗談を飛ばして来たら、瞬時に顔を強張らせて仰け反ったので、「冗談冗談」と手を振っておく。  この底抜けにお人好しな子を魔物の巣窟に放っておくのも、可哀想ではあるんだよな。  アマリリスに遊びに来る腹芸に向いてないお嬢さん方みたいに、必死で腹芸にすらなってない嘘をついているのを見ていたら。  俺は別に、このお嬢さんほどお人好しでもないのになあ。危ない橋にわざわざ乗っかっている自分に、思わず笑いが込み上げた。
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