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見覚えがあるなと思ってよく見てみたら、それは私が躍起になって集めた「リナリア」の中のスチルだ。これはアルルートでしか見られない、焚火のスチルだし、これはスターチスルートで見られる天体観測のスチルだ。でも変だ。私はそれらのスチルを全部「イラスト」「絵」と認識していたはずなのに、何故か今の私には「写真」のように鮮明に見えるのだ。
なんでだろう……そう思ってこの場所がどうして見覚えがあるのかに気付いた。
ここは「円環のリナリア」のセーブ画面に見えるんだ。全体的に辺りに見えるリナリアの花は、主人公リナリアの象徴の花なんだから。
「……ようこそ、私の声に気付いてくれた観測者」
可憐な声が私にかけられ、私はびくっと肩を震わせる。その彼女の姿を見て、私は思わず口を開く。私の常識では、パステルピンクの髪の色の人なんて、ウィッグでもない限り存在しない。でも彼女はパステルピンクの髪をなびかせて、真っ白な地面を擦るほどに長いドレスを纏って現れたのだ。
「……リナリア?」
そう喉を震わせるので精一杯だった。
私の目の前に立っていたのは「円環のリナリア」の主人公、リナリア・アルバその人だったのだ。
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