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乙女の夢と助けを呼ぶ声
今日も空が青い。でも私にはなんとなく黄ばんで見える。……ゲームに夢中になって、気が付いたら夜が明けていたなんて馬鹿は、ゲーム好きだったらありえる話だと信じたい。
今日もルート攻略し終えたばかりでテンションが落ちないまま、私は登校中に、亜美に延々と話をしていた。徹夜してエンディングを迎えたばっかりなんだから、この話をどうしても伝えたかった。SNSだったらネタバレも考慮しないといけないから、そのままぎゃいぎゃいと本能のまま叫べないのが難点だ。
「それでね、ほんっとうにカルミアのルートでアルがラスボスだったら、やばかったんだよ……もう、本当にアルが、アルがあ……」
私が熱心に乙女ゲームの話をすればするほどに、亜美の目が死んでいくのがわかり、つらい。亜美は私を半眼で眺めたあと、深ーく溜息をついてしまったのだ。
「……一応聞いておくけど、本当に楽しいんだよね、「リナリア」。私は苦手なタイプなゲームなんだけど」
「た、楽しいんだよ! 乙女ゲームってゲーム部分があんまり凝ってないの多いけど、「リナリア」は戦略考えないとすぐ詰むRPGだし」
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