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神殿と外出許可
本当だったら自室に図書館の本を持ち帰りたかったけれど、それはアルによって止められてしまった。
「図書の持ち出しは原則的に禁止されています」
「それじゃあ……覚えておきたいことって、どうしているんですか……?」
「ノートにペンで書き留めておくんです」
「はあ……ここで象徴の力を使うとは言わないんですね」
「……それは、一度魔法学者に診てもらって、教わってから考えましょう」
アルにそう言い含められてしまって、こちらに反論の余地はない。仕方なく私は、紙とペンをもらって、それで書いてみることにした。羽根ペンにインク壺、ちょっと黄ばんだ紙の質にぎょっとしつつ、私はどう書いたものかと思う。
この世界の人たちからしてみれば、ゲームシナリオの概要なんて、未来予知もいいところだよね。だとしたら、読まれてしまうのはすごく困る。仕方なく、リナリアにインストールされていたこの国のフルール語ではなく、日本語で予定を書き出すことにした。
やらないとまずいことは、攻略対象の地雷撤去。本編時系列に突入して、万が一フラグが立ったとしても、誰かの地雷を踏み抜かなかったら、闇落ちやラスボス化は避けられるはず。
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