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若葉の5月だ。
重度の花粉症はなりを潜め、税金の支払いで財布は軽くなるが、
空の青さに心はもっと軽くなる。
こんな日はとりあえず洗濯だ。
干したシーツの白さが眩しい。
ふと、夕べ見たドラマのヒロインの結婚シーンを思い出す。
「永遠の愛を誓います。」確かそう言った。
永遠の愛って、何だっけ?
私も言ったことあったっけ?
そもそも永遠も、愛も、この上なく頼りないではないか。
それなのに、誓いを立てていいのか。
ぼんやりと反論してみる。
・・・が、正夫のパンツを干しながら我に返り、
何だっけ?の答えを探すのをやめた。
「ルミ子さぁ~ん、回覧板!」
ベランダの下から声がする。
西城ひろみだ。
「あ、おはよう。今行く。待ってて。」
バタバタと階段を降りて玄関口に出た。
「今回はさぁ、運動会のプログラムあるからね。
各家庭1枚ずつ取って下さい、って、注意書きつけてるから。」
「ん、ああ、そっか。2週間後の日曜ね。ん、了解。」
彼女は今年町内の広報担当だ。
回覧物や連絡事項は
広報担当者が各班長に振り分ける決まりになってる。
たまたま我家も班長のおはちが回ってきたので
朝からこんなやり取りをする事が多い。
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