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言葉が分るとはいえ、
上手く説明するには、ここからは少し距離があった。
よし、ここは仕方ない・・・
乗りかかった舟だ・・・
見捨てるのも気の毒だし・・・
怪しげな雰囲気でもなさそうだし・・・と
ぐるぐる回る理由付けで心を落ち着かせる。
「じゃあ、えっと・・・一緒にイキマス、カァ?
ゴウ、トゥ、ザ、オテラ!・・・あの、ウイズ、ミー、
オーケー?」
どうだ?通じたか?
それ以上でもそれ以下でもない私の英語力。
この際、沈黙はよしてくれ。
「アリガト、ゴザイマス!ウレシイ!カンシャ、デス!」
普通にまともな日本語であっさり返され、少しへこんだ。
・・・という訳で、
天ぷら粉だけを積んだ自転車を引きづりながら、
彼をお寺まで案内する運びとなってしまった。
「あのぉ・・・旅行ですか?」
見れば結構な大きさのキャリーケースを引っ張っている。
「リョコウ、チガイマス。・・・ハイ、チガウンデス。」
ふぅ~ん、なら何でこんな田舎町に、と思いながら
今しがた会ったばかりの人に聞く程の事でもないな、
と黙った。
「ココハ、スコシサムイ、デス。トウキョウ、マダ、
アタタカイ、デス。」
「あら、東京からですか。」
「ハイ。カズキニ、アイニキマシタ。オテラニ
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