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スンデル・・オテラノヒト、ト、イッテマシタ。」
「カズキ、って・・・ああ、一樹君の事ね。なんだ、
お友達なんだ。私もよく知ってますよ。」
一樹君はお寺の一人息子だ。
うちの息子の3つ上で、確か東京の私大に進学し、
そのまま東京で就職した、と聞いていた。
彼岸参りでお寺に行ったとき、休暇で帰って来ていたのであろう
その姿を見かけたのを思い出した。
「カズキノコト、モット、シリタイ、デス。
ダカラ、アイニ、キマシタ。カクゴ、アリマス。」
覚悟?
あれ?なんか、これ、話が重くないか?
行きずりのおばさんに呟くセリフにしては、
切なそうだよ、ねえ、外人さん。
ここで、そのモヤモヤを解消すべく質問をしてはいけない。
今だけなんだから、行きずりなんだから・・・ね。
丁度お寺に到着だ。ほっとする。
「お寺、ここです。ここ、奥に行くと、おっきな呼び鈴
・・・あ、えっと、ベルね、あるから。」
「ハイ、ワカリマシタ。アノ、ボクノナマエ、レオ、
トイイマス。」
「あ、はい、えっと、私は天地ルミ子。ル、ミ、コです。」
別れ際なのに名のり合ってしまった。
「ルめコサン、アリガト、ゴザイ、マシタ。」
深々と頭を下げるレオに、ルめコじゃなく、ルミ子、
とは指摘しずらかった。
そして、そして、だ。
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