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おやすみ。また会う日まで
最後に残ったのは、ホープ。
そのあとの数日は、ふしぎと幸せだった。
ロイドは一日中、ホープといっしょにすごした。
ホープは、とても嬉しそうに笑った。
農園でリンゴを収穫した。
ジャムを作ると、ホープは大喜びした。
ブランコもした。
いつも誰かが遊んでいて、ホープは一度もブランコに乗ったことがなかったから。
ホープは、はしゃいで歓声をあげた。
植物園では花をつんだ。
たくさん、つんで、死んでしまったホープの兄弟たちに、一輪ずつ、そなえた。
シェルターで眠る子どもたちに。
本来、このシェルターは冷凍睡眠用のものだ。
でも、なかに入っているのは死体ばかり。
「ねえ、ロイド。ぼくも死ぬの?」
「死ぬんじゃありません。冬眠しているだけです」
「ウソだよね? 人間は冬眠しないもん。ご本で読んだよ」
「…………」
「ねえ、ロイド。ぼくは、いつ死ぬの?」
「わかりません。今日かもしれないし、明日かもしれない。でも、一年後かもしれない」
「そのあと、ロイドはどうなるの?」
「わかりません。でも、私は死ねない」
「ロイド。ひとりぼっちになるんだね」
「ホープ。あなただけは、ずっと、私といてください」
一人にはなりたくない。
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