アルデバランの子どもたち

眠りの前に

以前の、アルフレッド一人を残して、みんな死んでしまった、あのときみたいに？

「みんなは、このまま食事を続けていなさい」

泣きだす子どもたちを置いて、急いで、ロイドはスージーを研究室へ運びこんだ。疫病なら大変なことだ。ほかの子どもに感染するかもしれない。

だが、死体を調べても、なんの病原体も発見できなかった。

ナイトはフィリアと仲よし。

ニールはお風呂がキライ。

ヌーベルは昆虫採集が趣味。
でも、ドームシティには、ほとんど虫がいないのだが。
ときおり、ドームの外を飛ぶ蝶をうっとりとながめている。

ネロはワガママな暴君。
ローマ皇帝の名前を贈った。

ノアは予言者のマネごとをする。
夢で見たんだよというのが、彼の口ぐせ。

数日後。
朝、起きだしてきたノアが泣きわめいた。

「みんな死ぬよ。ぼくたち、みんな、もうすぐ死ぬんだよ。夢で見たんだ！」

ロイドは必死で、ノアをなだめすかした。

「それは、ただの夢ですよ。ほんとのことじゃない」

だが、ひとつきとたたないうちに、次々と子どもたちが死んだ。みんな、いっせいに花が散るように。

細胞単位で調べて、やっと原因がわかった。

細胞の初期化と分化をくりかえしてクローンを作り続けていたせいで、彼らのテロメアは極端に短くなってしまったのだと。