眠りの前に

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短命を運命づけられた子どもたち。 もうじき、みんな、死んでしまう。 そして、彼らからは、もう新しい子どもは作れない。 このまま、ずっと続いていくと思ったのに。 ロイドと子どもたちの楽園が。 ロイドは子どもたちのお世話のために作られた子守りロボットだ。子どもたちを育てることに喜びを見いだし、幸福を感じる。子どもたちのいない生活なんて考えられない。 計算すると、ロイドと彼らがいっしょに暮らせるのは、どんなに長くても、あと一年しかないことがわかった。 ハリスはノッポ。 ヒースは色が黒い。 フィリアは自分をおとぎ話のお姫さまだと思っている。 ヘイスは折り紙が得意。 ホープは恥ずかしがりや。 内気なので、ロイドにも、あまり、なついてくれない。 (ああ、このままだと、私は一人になってしまう) これまで考えてみたこともなかった。 いつも、ロイドのまわりには、たくさんの子どもがいたから。 誰もいなくなった冷たい星で、ロイドは死ぬことのできないアンドロイドとして、これからさき、何万年も生き続けていかなければならないのだ。 そんなことは耐えられそうになかった。 マイクは歌が上手。 ミランダはダンスが抜群。 ムースは生卵とゆでタマゴを見わけることができる。     
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