眠りの前に

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「ロイド。ずっと、いっしょにいてね。一人になるのは怖いよ」 不安そうなラバーを抱きしめて、眠った。 ロイドは目をとじただけだけど。 次の朝、ラバーは冷たくなっていた。 大好きなラバーが死んでしまった。 ロボットだから涙は出ない。 だけど、泣けるものなら泣いていた。 テロメアを長くする特効薬は、まだ完成しない。 ロイドには作れそうもない。 ラバーもいなくなってしまったし、いっそ、シグマに解体してもらおうか? シグマはずっと、私を分解したがっていた。 でも、ロイドがいなくなれば、シグマとホープはどうなるだろう? そう思うと、ここで自分だけ機能を停止するのはいけないことの気がした。 ラバーが死んだあと、ロイドは少し、おかしかったのだろう。 「ねえ、ロイド! ご飯はまだ?」 「ああ、シグマ。ごめんなさい。今、用意します」 話しかけられても、ぼうっとしてしまう。 「ロイドは、どうせ、おれのことなんか、どうだっていいんだ!」 「そうじゃありませんよ……」 シグマはとつぜん「わあーッ」と叫びだして、ロイドが止めるまもなく、展望台のてっぺんから飛びおりた。 ロイドの心は、こわれそうだ。 両眼からオイルがこぼれだしたので、ロボットの自分にも泣けるのだと知った。 すると、ホープが言った。 「ロイド。ぼくがいるよ」と。
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