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女性が小さな声ではにかみながら答える。
「後、そこに佐久間さんも来るんです」
「それは、誰?」
「元…彼…」
「なるほど、つまり、同じ場所に今の彼氏と元彼が出くわして、どう振る舞っていいか気になってるわけだ」
「はい、二人とも初対面だし、私の事は知らないし…あ、それと、もう一つ」
「まだあんの?」
逆にこうなると興味が湧いたのか、薬剤師が身を前に乗り出す。
「はい、その会にちょっとめかしこんで行こうかと、家にあったドレスを用意したんですけど、それ、7年前に友達に借りたやつだったの思い出して…」
「7年前? 相当前だな」
「はい、だから、どうしようかと、今更返せないし、かといって、このままにするのも…」
「いや、返そうか、それは、その方がいいと思うぞ」
「とにかく、そんなこんなが頭の中をぐるぐる巡って、眠れなくて…」
「わかった、これを飲め! 」
薬剤師がとんと透明な液体が入った小さな小瓶を置く、女性が手に取りまじまじと見つめる。
「これが…眠れる薬…ですか?」
「薬ではない、薬とは自然界にあるものを加工して、自然界にないものにしたものだ、これは、自然界にあるものを混ぜ合わせただけの、いってみればジュースだ」
「ジ、ジュース?」
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