眠れない女と眠りたくない男

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しばらく運転して、昼過ぎにドライブインに車を停め休憩、店内でカツ丼をかっこみ、慌ただしくドライブインを出発する。 またしばらくはまっすぐな単調な道、目がしょぼとしてまぶたが重くなる、眠気がやってくる。 くそ…やっぱりきたか… ギリギリまで眠気をこらえて運転する。トラックが微妙に蛇行しながら進む。 もう、限界… 男がドリンクホルダーに置いていたビンを手に取り、言われたように思いっきり振ってフタを開けた。 バシュー! う、うわー! 勢いよく中身が吹き出て、男の顔を貫き天井までしぶきがあがる。 な、何だこれ! 慌ててビンを口に突っ込む、しかし、中身はほとんど残っていない。 「ふざけんなあ! ほとんど撒き散らしたじゃねぇか! これじゃ、効くも効かないもねぇじゃねぇか!」 一人で喚いて男がアンプルを投げ捨てる。 ぜってぇ、一億ぶんどってやる! 男がムカムカしながらトラックを運転し、目的地に到着、荷物を素早く下ろすとすぐさま薬局に電話を入れる。 「はーい」 間延びした返事、薬剤師の声 「おい! てめぇ、どういうことだ! おまえが振って飲めっていったから振ったら中身全部飛び出したじやねぇか! 一滴も飲めなかったぞ、払え、一億!」 「誰か飲めって言った?」 「は?」     
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