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彼女は僕のことが馬に見えているらしい。
私だけは知っているよ、とこっそり人参をくれたりもする。
僕はれっきとした人間だ。
けれど、彼女はとても可愛いし優しくしてくれる。
もう少し彼女の妄想に付き合ってあげよう。
彼は馬だ。
どこからどう見ても馬だ。
本人は自分を人間だと思っているらしい。し、私以外の誰もその事実に気づいていない。
きっと彼は私が妄想をめぐらせていると思っているに違いない。
それを指摘しない優しい嘘を、これからも続けてくれるだろう。
さて、計画は始まったばかりだ。
自分を人間だと思い込みその通りに姿を変えている馬肉は、この世のなによりも美味らしい。
その時が楽しみだ。
おしまい
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