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婚約者候補を私の両親のどちらかが見つけても、中々私は会えない。理由は両親の意見が未だに合わないからだ。お父様は将来的に期待の出来る軍人を、お母様はなるべく地位の高い貴族あるいは軍人を求めている。お母様は地位の低い軍人と結婚するのは許さない、とお父様に意見をしていた。最近ではすっかり二人の仲が悪くなってしまっている。
私達がその後も他愛のない話で盛り上がっていると、可愛らしい声で誰かが話しかけてきた。
「あの」
「うわ!? 」
聞こえた方を向くと、どうやら彼女は隣の屋敷の庭から話しかけてきたようだ。柵に手を置き、目一杯背伸びをしている。
私達二人は立ち上がり、そちらに近づく。近づいてまず驚いたのが、肌の白さだ。貴族の令嬢は肌が白い人が多いけれど、彼女の場合病的な白さだ。少し心配になる。
と、同時に彼女の正体について思いをはせる。──そういえば、やけに肌が白い人形のような箱庭のお姫様がいる、と先週結婚したメアリーが話題にしていたっけな。名前は……確か……。
「私はシェストピア=ディアル。この間、14歳になったばかりですわ」
「ああ、あなたがあの箱庭のお姫様? 」
「何ですか、それ」
「いや、だって、あなたがあまりにも屋敷から出ないものだからすっかり話題なのよ。屋敷という箱庭に閉じ込められた可哀想なお姫様だ、ってね」
「まあ、そうなのですか……」
彼女は力なく笑う。噂では、屋敷に閉じ込めているのは虐待なのでは、と話題になっていた。
だが、リサの言葉をゆっくりと理解して彼女は、違うのです、と首を振る。
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